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ドラえもん最終話「さようなら、そして・・・」

ドラえもんが来て、のび太くんの運命が変わった。
のび太くんはドラえもんと過ごした日々の中で成長し、クラスのアイドルであるしずかちゃんと結婚出来る未来を掴み取ったのだ。
のび太くんの成長を感じ、ドラえもんは未来に帰ることになった。
今までお世話になった野比家、のび太くんの同級生など皆が涙ながらドラえもんを見送った。ただ一人を除いて・・・。
それは、元の未来でのび太くんと結婚するはずだったジャイ子である。
ジャイ子は、のび太くんのことが昔から大好きだったが、ドラえもんが来たことでジャイ子の未来が無残にも奪われたのである。
それ以来、ずっとジャイ子はのび太くん、しずかちゃん、ドラえもんを恨んでいた。
ドラえもんが居なくなったことで、ジャイ子の復讐が今始まるのであった。

剛は青いストライプのユニフォームを脱ぎ捨てて店の裏口から飛び出した。もう値札は見えなくなった母に店を任せるのは心配だったがそんなことは言っていられない。バーコードを読み込みレジは覚えてくれたので大丈夫だろう、そこまで考えて白髪の混じった頭を掻いた。俺もしがねぇ大人になっちまったもんだ、と呟いて車の自動ドアに滑り込む。
「オツカレサマです。どちらマデ行かれマスか?」
リボンを付けた黄色いあの子を思い出す優しい機械音声。
「野比家まで行ってくれ。」
柔らかく走り出す自動運転カー。解っていてもやっぱり20世紀生まれには慣れないシロモノだ。
あの空き地を通り過ぎる。化石のように土管が置いてある。
「停めてくれ、さっきの空き地に寄りたい」
自動運転カーは速度を落として極めて安全に回り込んで空き地に停まった。
思い出が蘇る。この時代に奇跡的に残った、いや、残された空き地。
「スネ夫・・・、あの頃、おれはのび太のこともお前のラジコンどうでもよかったんだ。ただ、お前と一緒に出来ることがバカなオレにはあの位しかなかったんだ。この空き地はオレの城だった。オレとお前の・・・。どんなオモチャくれたって許さないぞ!ギッタンギッタンにしてやる・・・!」
化石のような土管は以前と少しだけ違っている。そこにはクリスタルのプレートが埋め込まれている。
「我が愛息スネ夫ちゃまの思い出の為に」
剛の眼から涙が零れる。剛は土管を撫でて眼を拭い立ち上がる。今日は久しぶりにあの頃に戻れる日。青いロボットにも会える。
「オーレはジャイアン!ガーキ大将!」
自動運転カーが柔らかく走り出した。

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