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「未だかつて味わったことのない斬新なトリック。ラスト2ページ、4行から5行目の間、あなたは新たな西村急太郎をハンティングすることでしょう。」
推薦者:ミステリーハンター 荻窪悟(おぎくぼさとる)45歳
 

西村急太郎 『フェリー』を読んで

僕はハンバーグの次に船が好きです。船の中でもフェリーが断トツで好きです。なのでこの本を読みました。
この本の中で2番目に出てくるフェリーが、まさかの新型のHS-203系だったので、やはり西村先生はすごいなあと思いました。203系は昔の105系と違って、船底のフェダーが長くて、僕はそこがすごく好きです。大好きです。パシュート部分のラッチが左に寄りすぎているとこと、マリッサピンが奥につまりすぎているとこは、逆に105系の良かったとこだと思いました。
来月おばあちゃんの家に行く時は105系で行きたいです。その時は酔い止めをすりかえられないよう気をつけます。

やあ~、彼が発表した歴代の作品の中で、これほど迄に最後まで飽くことなく楽しませてくれたものは無いであろう。推理小説としては初の、口絵、挿絵、写真を含む全20頁のトレシングペーパー仕様でオールカラー刷り。読もうという意欲を削ぐ紙面作りは、仕様からしてすでに読者に対してアグレッシブに挑戦しているという大胆さに感服させられた。登場人物が五人だけなのに、だれが犯人なのか最後迄掴めない。しかも起承転の部分を四コマ漫画にし、結の部分のみ文章にするという破天荒さ。犯人が府の経理担当者だったことから、“府経理”→“フケーリ”→“フェリー”という駄洒落が、犯人を指す隠語となっていたという斬新さ。そこに行き着く迄に、かなり右往左往することから、浅草芸人のパリス師匠が帯に寄せた「ローリングが激しく船酔いしそうだ」という文も、読み終えた後ニンマリする読者も多いことだろう。

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