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「難解なコースほど攻略のしがいがある。少女の成長と、過去の自分の姿を重ね合わせ、涙が止まらなくなりました。」

推薦者:プロゴルファー  柳本蘭子(やなぎもとらんこ)38歳

村上春『三番レフト鈴木ベートーベン!』を読んで

レフト少女と鈴木との交錯した運命と愛憎劇、その中で成長していくレフト少女にも感動しましたが、私が一番心動かされたのは、鈴木の妹シューベルトの決断でした。自分に非がないあの状況で自分の将来を投げ打って一度も会ったことのないレフト少女の父親との結婚を決意し、三番シューベルトになる。そしてその意に沿わない状況で大きなことを成し遂げていく…。私だったらその決断ができるだろうか。その後あのような人生を送れるだろうか。
村上春特有のまるで音楽が実際に聞こえてくるような世界観の中で、津軽三味線に身を委ねながら、私は鈴木シューベルト、いや三番シューベルトの人生に思いを馳せることしかできませんでした。
もうすぐ6月。田植えで酒が飲めるから、飲みながら、また彼女のことを考えてしまうでしょう。

私が一番感動したのは、鈴木ベートーベンが野球か音楽かで悩んでいたときに、おじいちゃんが言ったことばです。
「母方(イチロー)の親せきも、父方(ベートーベン)の親せきも、ただお前の幸せを願っているだけだ。どちらの顔を立てるかなんてお前が気にすることじゃあない。本当にやりたいことをやってやれ!」
私はベートーベンみたいに、いろんな才能があるわけじゃないけど、自分がやりたいことを精一杯やって、輝いていることが、一番のご先祖様の供養になるんだと、この本を読んで気付きました。
本当は野球だけに集中したかったのに、父方(ベートーベン)の親せきが来ている甲子園最後の試合で、入場行進曲を生演奏した鈴木ベートーベンは、本当にやさしい人なんだなと思いました

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