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「今の時代に求められているのはこれだ!目から鱗の物語。スローライフの原点とも言える小説です。」

推薦者:経済ジャーナリスト 森田勝也(もりたかつや)51歳

宮沢賢治朗『後ろから揉んでみる』を読んで

大往生ならぬ大快楽、本を閉じたとき、自然とこの言葉を口にしていました。高齢化社会におけるバイブルといっても過言ではないでしょう。
全ての季節、全ての場所、全ての道具、全ての体位、まさに全ての快楽を経験し尽くした主人公が70歳の誕生日に気付いた己のエアポケット。究極の快楽は身近にあったのだ、と主人公と同時に私も私の息子も解き放たれました。
1,200ページにも及ぶ本書の約8割が前戯のシーンであった点、まさに圧巻の一言でした!! まさにスローライフ!!
“聖書”ならぬ“性書”として知人にもすすめていきたいと思いました。

大抵のものは、後ろから揉むことでやわらかくなって食べられるなんて知らなかった。今まで捨てていた種やヘタのところも、今度から後ろから揉んで、残さず食べるようにしたい。

宮沢賢治朗の作品は処女作の「テラ銭持って逃げる」しか読んだことが無く、今回の作品も良い意味で期待していませんでした。
実際、読み始めると冒頭2頁で後ろから揉みだしたので、終盤でどのような揉み返しがあるのかと、全1,463頁を2時間弱で読み切ってしまいました。
スローライフとローライズをテーマに複数の主人公の人生観、感情が入り乱れ、特に第4章の主人公である重里が自分の母親の前で嗚咽交じりに父親の祖母を揉みだしたところは、宮沢節が非常に濃く、圧巻でした。
この作品を読んで、今は希薄している日本人らしさを見つめなおすことができました。
来年には、映画化や続編である「少し歩いて擦りむいた」の出版も決まっているので、宮沢ワールドが僕を離さない時間を満喫したいです。

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