ベトナムからの笑い声 アーカイブ
Laughing Voice form Vietnam Archive
design Mari KUSAKI
Photo(準備中)
第29回公演『パックマンズショー』
第1子出産に第3子出産で主力俳優二人を欠く異例の事態。苦し紛れの大逆転勝利を目指す脚本家は、作品の4割を映像作品とすることを決める。しかも人形劇。番外公演以来の本格的人形劇の撮影は順調かと思われたが、12月に頬骨を折った代表が、またもや自転車で派手に転倒し、今度は顎の骨を折り入院。手術及び退院の日程を踏まえて元々予定していた公演日程を変更するという事態に見舞われる。何とか乗り越え公演にはたどり着いたものの、やはり主演女優と必須の飛び道具を欠いた公演はこれまでにない賛否両論を巻き起こした。
くしくもこれがベトナムからの笑い声としては、一旦最後の作品となる。
Data
2011.6.10.(Fri.)ー12.(Sun.) 5ステージ
スペース・イサン(京都)
クレジット
脚本/黒川猛
制作/丸井重樹
秘書/山本佳世
舞台監督/浜村修司
音楽/Nov.16
音響/小早川保隆
音響操作/児玉菜摘
照明/真田貴吉
映像/中川剛
映像協力/竹崎博人
チラシデザイン/草木マリ
舞台写真/仲川あい
Web予約フォーム/シバイエンジン
出演
荒木千恵
黒川猛
徳永勝則
西河ヤスノリ
堀江洋一
松村康右
丸井重樹
山方由美
京都芸術センター制作支援事業
協力/スペース・イサン
料金 2,000円 日時指定割引1,800円 ペアチケット 3,000円
観客動員 約260名
Details
今回はなんと、もう二度とやらないといっていたまさかの長編。
とある人形劇団の春夏秋冬が舞台となる。
学生時代、シェイクスピアの四大悲劇を下敷きにした人形劇を上演していた
サークルのメンバーが12年ぶりに顔を合わせた。
驚愕の再会は春。
波乱の予兆を感じさせる夏。
悲劇の秋。
そして、怒涛の幕引きの冬。
人生、いや、人間のわからなさを、
不条理と下ネタと狂気で描く、第29回公演。
人間と人形の境目は、そんなにはっきりしてはいない。
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『キャプテンジョー』(2009年)が、実に7年ぶりの長編作品だったわけだが、
あの作品は“長編”のフリをしたコント(に最も肉薄した演劇)作品だった。
あれから2年。今回は、まともに“長編”である。
舞台は、とある大学、とある人形劇サークルの部屋。
部員が最も多かった1999年から12年後。
当時のサークルメンバーが顔を合わせた。
干支が一周する年月は、人間をどう変えるのか。あるいはどう変わらないのか。
衝撃的な再会の春。
波乱の予兆を感じさせる夏。
悲劇の秋。
そして驚愕の冬。
12年前の人形劇と、現在を交互に描く、4場もの。…まともな“長編”だ。
12年前に上演していた人形劇は、シェイクスピアの四大悲劇を下敷きにしていた
…とは、もうもはや言ってはいけないのではないかというほど原形をとどめていない。
『オセロー』『マクベス』『ハムレット』『リア王』。
原作をご存知の方は、どういう歪められ方をしているか、お楽しみに。
まったくご存じない方も大丈夫。劇中に丁寧な解説がありますので、お聞き逃しなく。
ちなみに、この部分、相当お下品です。ご了承ください。
人形劇サークルの“ルール”は「部屋の中では自分の人形を手につけて話すこと」。
もちろん人形が話すときには、人形のキャラクターで話す。
人間と人形。演技と、演じる演技。
混乱と不条理の末に起こる「パックマンズショー」とは、はたして…。
Producer's note
2年ぶりの長編作品となった今回。
短編オムニバスでない、ということ以外に、いつもとちょっと違うことがいくつもある。
そしてそれは、そうならざるを得なかった必然によって、そうなっている。
いわば、長編作品となったことも、そうならざるを得なかった。
映像の使い方も、出演者も。
そして、テイストも。
「今回のベトナムはなんかいつもと違うな」と思われて当然の作品となった。
それがよいのか、悪いのか、は、もちろん観たお客様の判断を仰ぐしかない。
私たちとしては、かなり“攻め”の姿勢で臨んだので、吉と出ることを祈るばかりだ。
それにしても、そうならざるを得なかった必然、
大げさにいえば運命に振り回された公演だった。
シェイクスピア戯曲の登場人物も、運命に悩み、振り回され、妄想し、
生きたり死んだりしている。
しかし「人の運命が他人に左右されてはいけません」。
そうならざるを得なかった必然を、他人や、
ましているのかどうかわからない神のせいにしたのでは、前に進めないのだ。
そういう意味では、運命など、ない。
すべてが自らの選択であり、意思によるものだ。
劇団はこの公演を経て、確実に何かを乗り越えようとしている。
まだ乗り越えてはいないし、乗り越えられるかどうか分からない。
しかし、乗り越えられたとき、これまで以上の強度を手にするのではないか。
その時には、第50回公演が見えてくる。と、思う。
…何年後だ? そして私たちは、いったいいくつだ??
本日はご来場いただきましてありがとうございます。
最後までごゆっくりご覧ください。
ベトナムからの笑い声 代表 丸井重樹
(2011年6月)
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