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「軽快な音楽に合わせて歌い踊る棒人間たち。

あの動きを人がしているなんて信じられません。

最後の場面まで緻密に計算されている棒たちの動きに、

今後の自分の対戦の素晴らしいヒントを頂けました。

ありがとうございました。」 

 評:棋士 山田公太(16)

演出・宮本アーモン『THE・テトリス』を観て

今回のアーモンさんは壮大さ、という言葉をはき違えてやしないだろうか。業務用のロッカーに役者を入れて、ダンサーを入れて、2人入れて、5人入れて、犬を入れて、猫を入れて、タコを入れて、イカを入れて、扉を閉めて、見えない!  タコ♪イカ♪マンボウ♪Come on Summer!!って30年前のウッチャンナンチャンがやった日焼け止めのCMパロを今やれれて誰が分かるのか。ロッカーを積んで、積んで、積んで揃ったら、その部分が後ろに引っ張られて消えていく。ご安全に!  ご安全に!  をX Japan、LINA SEA、幻覚アレルギー、シャンシャン颱風、パパロッティ、河内家菊水丸によるコーラスで歌い上げられても、クレーンで引っ張られていくロッカーの中で話題になりたいだけで出た橋下元市長と一緒に入れられた白猫がかわいそうで気になって全く聴いていられない。目の前に灰色のスチール棚が作業されていく。隠蔽された現代社会だとか政治の不透明さだとか完全に後付けのキャッチコピーが怒りに拍車をかける。軍手とヘルメットをグッズで売るな!

THE テトリスと僕の境地
観劇後、僕はあの軽快なリズムに合わせて口ずさんでいた。
きーみと、ぼーくがあーるいていたら、前から車がきたよ♪
おーもわず、いちれーつになったら、消えたぼーくの恋心♪
この歌を口ずさみ、ぼくは笑いながら怒りに震えていた。なぜなら僕はあの時からテトリスが苦手なのだ。
僕はテトリスを見ると、中学校の同級生のふとしを思い出す。
あのテトリスの巧い豆顔のふとしだ。僕の初恋をテトリスの緑のL字ブロックで邪魔したあのテトリスの巧い豆顔のふとしだ。
僕は炊きたてのご飯にきな粉を振り掛け、怒りときな粉とご飯と初恋の思い出を噛み締め、黒豆茶で流し込んだ。あぁ、僕の幸せはここにある。

鳴りひびくロシア民謡。「プロチャージナヤ」「チャストゥーシカ」
とどろく、棒人間共の運命と宿命に彩られた情熱のコサックダンス。金玉も棒もなりふり構わず踊る夜。棒人間のレーゾンデートル(存在主義)の棒が一本から二本に増える、「衣装を脱がしてもらう」という初演から追加された演出。棒人間の棒(ちんぽ)が1本から2本になる…。まさに平成末期における「一本でも人参」、なぎら健壱も泣いていると思います。
この新演出を舞台だけにおさめず、終演後のロビーで棒をまじまじと見つめることによって初めて理解できるタイトル。コンテンポラリーとジャズとスタニスラフスキーシステムの邂逅は、アーモン女史の手と股さばきによって、ついに新たなステージにたどりついたと言ってよいでしょう。おおむね。
大満足のステオベ。観客の立席と息を合わせたかのような棒人間たちの「棒」の見事なエレクト(勃起)!!!!  この一言に尽きます。「オーチンハラショー!!!!」
日本凱旋公演での江頭2:50さんと井戸らっきょさんのパッションあふれるセッション、楽しみです。おおむね。
ありがとうございました。おおむね。

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