第22回公演『洋一の牙』
ポスト・パフォーマンス・トーク (1/4)
黒川ワールドの<変わらなさ>
黒川 それでは、ポスト・パフォーマンス・トークの方、繰り広げていこうと思います。どうでした?
岩崎 黒川さんは“THE GO AND MO'S”の前身で、“ベトナムからの笑い声”(※1)という劇団をやってらっしゃって、で、今日、久しぶりに黒川ワールドを観せていただきましたけれども。変わらんな、というのが正直な印象で。ずっとこんなんやってますね。ほんとに。
黒川 20年、ずっとやってますね。
岩崎 でもやっぱり、新しいネタがいっぱい出てくるんですね。
黒川 そうですね。
岩崎 今日は後で何か喋らなきゃいけないと思って、すごく分析的に見ようと思ったんだけど、不可能(笑)。<なんだろうこれは>と思って観てたんだけど、なんか、深夜ラジオやな、と僕は思ったんですよ。つまり、私が楽しければそれでいい、っていうふうに客席で観ればいいんだって。なんかこう、拡がりを持たせて最大公約数なんて全然狙ってないでしょ。
黒川 いや…、狙えないですね。
岩崎 知り合ってから16年ぐらい、活躍は耳にしていたんですよ。森本(研典)とか呼んでもらったりもしてて(※2)。で、時代がいつか黒川に追いつくだろうと僕は思ってたんですよ。
黒川 はい。
岩崎 追いつかんな、と。ぶっちぎりで自分の世界をいってるな、と今日改めて思ったね。それがすごくいいよねって。しかもこういう密室な空間で観るのがやっぱりいいよね。
黒川 そりゃ“ABCホール”でやりたいですよ。
岩崎 いや、100人以上のところで観たくない。
黒川 100人、200人のところでやってみたいですよ。
岩崎 3~40人で見ると、共犯関係みたいなものが生まれて。
黒川 あ、それはよく言われますね、共犯関係。
岩崎 いいんだなって思った。マイノリティを選択してる、って感じがするんだな。正直。
黒川 メジャー志向はあるんですけどね。
岩崎 あるの? それがどっかで噛み合わない感じが良いね。
黒川 いいですかね? 噛み合ってほしいなあ…。全然噛み合わねえ。
岩崎 いやいや、だから1本目から面白く観ました。
黒川猛(THE GO AND MO’S)×岩崎正裕(劇団●太陽族)
2016年4月16日(土)終演後、津・あけぼの座
※1 ベトナムからの笑い声…1996年に旗揚げした劇団。2011年末に無期限活動停止。29回公演。ほぼすべての作品の脚本を黒川が担当。第1回大阪演劇祭CAMPUS CUP’99で上演した『ドッグ・オア・ジャック』で優秀賞獲得。
※2 森本さん…森本研典氏との最初の共演は映像シリーズ『ドキュメンタリー』。その後同じく映像シリーズ『KIGEKI』や黒川との二人芝居など、ゲスト出演多数。最新作である第23回公演『松村の右』にも出演、新作4本に挑戦する。