ベトナムからの笑い声 アーカイブ
Laughing Voice form Vietnam Archive


design Shigeki MARUI
Photo(準備中)
第4回公演『ドッグ・オア・ジャック』
プロ野球の審判の誤審とマスコットキャラクターを通して、「プロ」とは何かを描く。再びかぶりものをかぶる。出演者の堀江が、本番中に急性腸炎で入院。以降、誰かが本番前に倒れる。病気劇団の歴史始まる。
Data
日時 1998.1.23.(Fri.)―25.(Sun.) 4ステージ
会場 スペース・イサン東福寺(京都)
クレジット
作/黒川猛
演出/ジラフ教授
舞台監督/鈴木芳
照明/新屋未央
音響/東川原菜緒
衣装協力/信原典子
出演
三田善之助/ジラフ教授
加藤実/堀江洋一
ドッグちゃん/山下衣子
ジャックマン/黒川猛
料金 前売600円 当日800円
観客動員 約130人
Details
'98プロ野球開幕。
川崎ブルドック球場、審判控室。
強豪・川崎ドッグスと、弱小球団・宇都宮ブルーソックスの開幕戦。ベテラン審判員・三田の「アウト」の判定をめぐり、試合終了後、「青い悪魔」の異名を取るブルーソックスのファンの大暴動が発生。球場は大混乱に陥る。
取り残される三田と加藤。
暴動に巻き込まれるホームチームのマスコット。
そこへ乱入する敵チームのマスコット?
エスカレートする暴動。
閉じ込められる人々。
はたして三田の判定は正しかったのか?
そして、三田の判定は覆るのか?
巷で流行の“静かな演劇”や、
やわなハートフルコメディや、
ありきたりな不条理劇に対抗すべく、
やかましくて無意味な「日常」、
なさそうだけどある、
少なくとも僕らの周りには確実に存在する「日常」を、
演劇的に立ち上げる、ベトナム流コメディ。
*後にCAMPUS CUP'99にノミネートされることとなった作品。
Director's note
みかんの房には白いすじがある。元・東京サンシャインボーイズの脚本家で、「王様のレストラン」や「警部補 古畑任三郎」の脚本を書いた三谷幸喜という人が、みかんを炬燵で少しあっためると、あのすじが取りやすくなるなどと言ってますが、本当か?
僕の友達で、みかんの房をバラバラにした挙句、一つ一つ炬燵の上に並べて、あのすじを全部取ってから食べるというやつがいる。かと思うと、僕の弟なんかは、みかん好きで爪の先をまっ黄色にしてみかんを食べるんだが、あのすじなどには目もくれず、バクバク食べる。彼は野球少年で、高校時代、春・夏と甲子園に出たほどだ。僕も野球をやっていたが、高校に入って諦めた。何しろ、中学時代を通じて、一度も試合に出たことがないのだ。で、芝居始めた。僕と弟はかくも違う。だから、僕はすじを取って食べる人だ。
ああいうのは、年を重ねても変わらないもので、どんなに急いで食べるときも、僕はすじを取って食べるし、弟はバクバク食べるはずだ。「何でいちいちそんなん取るの? 見ててうっとうしんじゃ」とか「なんで全部そのまま食べるの? それっておいしくないやん」など、なんと言われようと、取る人は取るし、食べる人は食べる。弟は野球をやめないだろうし、僕は芝居を続ける。でも。
例えば、「みかん一個10秒で食べたら100万円」ってコーナーがあるとしたら、僕はすじまでバクバク食べるだろうし、あのすじは有害で、食べてるとそのうち死ぬってことになったら、弟だってすじを取るだろう。彼女がなんて言おうと両親が倒れようと、芝居をやめる気はないけど、芝居をやめないと、命はないって言われたら、あっさりやめる。それがタフな生き方だし、前向きな生き方だ。僕の好きな小説の一節に、こうある。
「タフといえば、殴られても殴られても立ち向かっていくことだと勘違いしている奴がいるが、とんでもない勘違いだ。…タフな奴はまずのびる。敵が立ち去ってから、ニッコリと起き上がればいいのだ。」(桑原譲太郎「狼たちのカーニバル」)
弟にも、そういう奴であって欲しい。だから、両親が倒れたときは、どうかよろしく。
本日はどうもありがとうございます。最後まで、どうぞごゆっくり。
ベトナムからの笑い声 代表 丸井重樹
(1998年1月)
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