ベトナムからの笑い声 アーカイブ
Laughing Voice form Vietnam Archive
design Shigeki MARUI
Photo(準備中)
第5回公演『ドクターセブン』
このあたりから描くテーマを喪失していく。ベトナム初の「サスペンス・コメディ」。「ベトナム初の」の歴史始まる。初めて客演として、川口真理を客演に迎える。
Data
日時 1998.5.22.(Fri.)―24(Sun.) 4ステージ
会場 スペース・イサン東福寺(京都)
クレジット
作・演出/黒川猛 *旗揚げ公演以来二度目にして最後の演出クレジット
照明(OP)/鈴木芳
音響(OP)/山下衣子
制作/丸井重樹
出演
男1(小柳)/ジラフ教授
女1(スデサー側山)/川口真理
女2(看護婦)/東川原菜緒
男2(落語家)/黒川猛
男3(腹話術師)/堀江洋一
料金 前売600円 当日800円
観客動員 約130人
Details
舞台は、小柳診療内科医院の診療室。
5月の某月曜日。午後6時。
そこへ、次々にやって来る患者たち。
場違い、勘違い、思い違い。診療室の混乱は加速度的に増していく。
彼らの目的はいったい何か? 医者の正体とは?
そして、「ドクターセブン」とはいったい何か。
謎が謎を呼ぶ、というより、ネタがネタを呼び、笑いが笑いを呼ぶ、
ベトナム初のサスペンス・コメディ。
解かれないまま流されるいくつもの謎。次々と脱線するストーリー。
ちっとも緻密じゃないトリック。あまりにもくだならすぎる結末。
いつものように、音の変化も光の変化も、大掛かりな装置もない。
脚本家・黒川の独特の言語感覚による台詞と、
あくの強いキャラクターを持つ役者たちで、一つの世界観をでっち上げる。
感動も説教も問題提起もないけど、確実に笑える。そんなお芝居。
Producer's note
同じ集団で、5回も公演をやってれば、だんだんと「方向性」とか、「色」みたいなものが見えてきそうなものだと思うのだが、そういうものをまったく感じない。旗揚げから変わらないものといえば、脚本家、「笑い」に重点を置いていること、赤を基調にしたチラシのデザイン、ぐらいだろうか。毎回毎回、「今回はベトナムのターニングポイントだな」とか言ってる。もちろん、今回もそう思っている。
だから、僕らにはいくつもの「方向性」が存在する。一つのことにこだわって「笑い」を捨てるなら、そのこだわりはあっさり捨てて、面白いことをやる。気まぐれ結構。思いつき最高。矛盾、それがどうした。劇団名もそろそろ飽きてきた、…いや、それはちょっと。
だから、僕らは、決して演劇に執着しない。それは、他の芸術とのコラボレーションを意味するのではなく、演劇バカにはならないということである。演劇のためなら死ねるなんてこれっぽっちも思っていない。僕らは、現在の閉塞した芸術の状況なんて、崩壊してもいっこうに構わないし、差し支えない。僕らは僕らの表現を信じる。僕らが面白いと思うものを信じる。「こんなものはとても演劇とは呼べない」と言われてもいい。僕らの表現が、僕らの創る芝居が、演劇とか芸術とかいう壁を超えて、社会に「笑い」を産みさえすれば。
今日はどうもありがとう。最後まで、ごゆっくりどうぞ。
ベトナムからの笑い声 代表 丸井重樹
(1998年5月)
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