ベトナムからの笑い声 アーカイブ
Laughing Voice form Vietnam Archive
design Shigeki MARUI
Photo(準備中)
第7回公演『ドッグ・オア・ジャック-改訂版-』
第1回大阪演劇祭・CAMPUS CUP’99出場
ベトナム初の再演。初の大阪公演。初のコンクール出場。初物づくし。平日2ステージ、しかも通常価格の約1.5倍のチケット料金にもかかわらず200人を越す観客に恵まれるも、楽屋で初日の売上(13万円)を盗まれるパプニングにも見舞われる。この公演を期に、ベトナムはメンバーを固定し、少し長いスパンでベトナム固有のオリジナリティを創造する「劇団」になり、劇団の歴史始まる。目標は、3年後に京都で5本の指に入る劇団になることだった。
Data
日時 1999.3.8.(Mon.)・9.(Tue.) 2ステージ
会場 扇町ミュージアムスクエア・フォーラム(大阪) *初ののOMS公演。こんなことがなければここで公演することはなかった。
クレジット
作/黒川猛
演出/ジラフ教授
舞台監督/林詩乃
照明/モリサワメグミ
音響(OP)/和田八千代
衣装/宮崎宏康
制作/丸井重樹
出演
三田善之助/松村康右
加藤実/黒川猛
イギィームワップ/宮崎宏康
ドッグちゃん/山下衣子
ジャックマン/堀江洋一
大森/ジラフ教授
清田/鈴木芳
声の出演/くいしんぼオールスターズ(西謙造/高木俊輔/内田琢也/前田岳志/新海大祐)
料金 前売・当日共 1,000円
観客動員 約240人
*CAMPUS CUP’99 優秀賞(第2位)を獲得
*黒川猛が男優賞を受賞
*宮崎宏康がアイドル賞(観客による投票)を受賞
Details
1999年4月1日、プロ野球開幕。
舞台は、川崎ブルドック球場、審判控室。
強豪“川崎ドッグス”と、弱小球団“宇都宮ブルーソックス”の開幕戦。
9回の表、宇都宮ブルーソックスの攻撃の際、勝敗とはほとんど無関係のプレーの判定をめぐって乱闘騒ぎがあった。判定を下したのはベテラン審判員・三田。試合終了後、「青い悪魔」の異名を取るブルーソックスの熱狂的ファンが暴動を起こし、球場は大混乱に陥っていた。
三田の判定は、はたして正しかったのか。
激化する暴動。帰るに帰れない二人。
迷い込むドラフト1位選手。
巻き込まれるホームチームのマスコット。
逃げ込んでくる実況アナウンサー。
乱入する敵チームのマスコット?
控室の混乱は加速していく。
一向に収まらない暴動と、次々に控室へやってくる人々。
苛立ち、焦り、誤解、秘密、プライド、恥、着ぐるみ、ジェスチャー?
絶妙な間で展開する会話と、あくの強いキャラクター。
脱線に脱線を重ね、ちっとも先に進まないストーリー。
笑いのための笑い、無意味なネタの数々。
なさそうだけどある、少なくとも僕らの周りには確実に存在する「日常」を、演劇的に立ち上げる。
下ネタと、異国語と、ぬいぐるみを総動員して送る、ベトナム流コメディ。
Director's note
思い込みの激しい人というのはどこにでもいて、ともすると人に迷惑を掛けたりする。
そこまで激しくなくても、人は多かれ少なかれ思い込んでいる部分がある。「自分はかっこいい」と思い込んでいる人はナルシストと言われるし、「私は太っている」と思い込んでいる人は、ダイエットに励む。
思い込みは、自信にもなる。何か事を始めるにあたっては、「自分にも出切るはずだ」という思い込みがなければ、前に踏み出せない。要は、「自分を知る」事と「思い込む」事のバランスが大事なのだが、これがなかなか難しい。僕はどちらかというと、思い込みの激しい方だ。しかし。
僕のモットーは、「現状維持は後退である」だ。常に前に進むためには、少々思い込みが激しくないとやっていけない。だいたい、僕が芝居を続けているのだって、「僕はお芝居が好きで、芝居向きの人間なんだ」という思い込みだ。どこかで「いや、おまえ普通に就職した方がええで」「あんた芸術家向きじゃないで」という声も聞こえてくる。それを打ち消すのは、「いや、イケてるイケてる」という思い込みと、もちろん、本当に良いものを作るための努力だ。
ベトナムが今回のCAMPUS CUPにノミネートされた時、正直なところ僕は「まだ時期尚早だ」と思っていた。京阪神に山とある学生劇団の6位以内にいるとは思えなかった。しかもうち、正式な“学生劇団”じゃないしな。でも、一つの大きな山であり、のし上がるチャンスであるとも思った。
だから、「半分ぐらい学生なんだから学生劇団じゃ」と思い込み、「少なくとも京阪神の学生劇団では最も面白い」と思い込むことから、今回の公演はスタートした。僕らが面白いと思うものが面白くなくて、何が面白いんじゃ。思い込みは自信になり、自信に裏打ちされた努力が本当の評価になり得る。思い込みを他人に納得してもらえるか。それは舞台を見ていただければ明らかです。
今日はどうもありがとう。最後までごゆっくりお楽しみください。
ベトナムからの笑い声 代表 丸井重樹
(1999年3月)
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