ベトナムからの笑い声 アーカイブ
Laughing Voice form Vietnam Archive
design Shigeki MARUI
Photo(準備中)
第18回公演『ニセキョセンブーム』
ついに(?)アートコンプレックス1928進出。京都の繁華街のど真ん中という最高の立地条件。しかも、京都チャンネルによる収録・放送、関西ウォーカーに初めて情報が掲載される。
前作より7ヶ月、二人芝居しか出来なかった鬱憤を晴らすべく、濃いー四本を上演。
番外公演2・チリとペルーからの笑い声で行った「神宮射的場」の続編とも言えるACT1「モグラパンチ」は、「第六師団」に勝るとも劣らないシュール度合い。「ドカベン狂の詩」を超えるマニアックさで、観客がポカーンとなったACT2「ザ・演劇ドラフト会議」。完全にドラフト会議のパロディ。そして意欲作だったACT3「クローンズ」は賛否両論。というか、劇団の意図しない方向へ。安心できるドタバタのはずだったACT4「匠・からくり人形師」も、宮崎の作るからくり人形が遅れに遅れ、完成は本番当日。いろんな意味でギリギリな公演。劇団としての体力の限界か? 戦い方を再考する時期なのかもしれない。
それでも、立地条件にも助けられ、一公演での動員数としては「モロッコ」以来の400人に。
Data
2005.6.24.(Sat.)ー26.(Sun.) 5ステージ
ART COMPLEX 1928(京都)
クレジット
脚本/黒川猛
特殊美術/宮崎宏康
音楽/Nov.16
秘書/山本佳世 *秘書・山本さん初参加
制作/丸井重樹
舞台監督/小島聡太
音響/小早川保隆(GEKKEN staff room)
照明/松谷將弘(リッジクリエイティブ(株))
大道具/五木見名子(GEKKEN staff room)
出演
黒川猛
ジラフ教授
徳永勝則
信國恵太
堀江洋一
松村康右(よしもとザ・ブロードキャストショウ)
宮崎宏康
山方由美(フリー)
声の出演
新海大祐(元京都教育大学野球部投手)
京都芸術センター制作支援事業
アートコンプレックス1928提携公演
第13回OMS戯曲賞 最終候補
*京都チャンネル(CS)「京都演劇の世界」で放送
料金 1,500円 日時指定割引1,200円
観客動員 約400人
Details
ベトナム7ヶ月ぶりの公演です。
不条理感満載のACT1は、ベトナムが持つバランス感覚を発揮。
得意な不条理と狂気の「笑い」。
嘘満載のACT2は、閉塞した「演劇界」への皮肉でも批判でもなんでもなく、むしろ野球界のパロディー。登場人物はすべて架空の人物。
マニアックな「笑い」。
気持ち悪さ満載のACT3は、ベトナムの新たな実験。語られる台詞、その意味、ビジュアルが溶け合わさる。
社会批判、時代への警鐘などを飛び越える、下品で単純な「笑い」。
そして最後はバカバカしさ満載のACT4。得意のドタバタコメディ。特殊美術家・宮崎宏康の作るからくり人形に期待。
バイオレンスの「笑い」。
劇団結成より今年で10年。
第13回公演より続くオムニバス形式による様々な「笑い」への挑戦は果てしなく続く。
ACT1 モグラパンチ
町外れにある、昭和を彷彿とさせるゲームが並ぶ「ゲームコーナー田畑」に訪れた男と女。
そこに現れる老夫婦。繰り出される不可解な注文。言動。米粒。無言の従業員らしき男。振り回される二人。
果たして、無事にすべてのゲームを制覇し、勝利を得ることができるか。ベトナムの持てるバランス感覚を発揮。
不条理感満載。
ACT2 ザ・演劇ドラフト会議
日本の演劇界が12劇団になって幾年。今年も、新人獲得会議=演劇ドラフト会議が始まった。
彗星のごとく現れたゴールデンルーキー。社会人演劇トーナメントを制した舞台美術家、世界のミヤケが認めた驚愕の衣装家…。
果たして万年最下位の弱小劇団は、希望通りの補強を行うことが出来るか。
嘘満載。
「ザ・演劇ドラフト会議」の劇団紹介はこちら
ACT3 クローンズ
とある研究所で密かに作られた、人間のクローンたち。
チューブに繋がれ、袋に覆われた彼らは、果たして外に出られるのか。そして、彼らが作られた目的とはいったい何か。
生命までをも操る科学への批判・皮肉、人間性の喪失に対する警鐘よりも、ベトナムの「笑い」が上回る。究極のブラックファンタジー。
気持ち悪さ満載。
ACT4 匠・からくり人形師
二百年の伝統を誇る「からくり人形師の家」にやってきたドキュメンタリー番組のディレクター。
そこには、科学やテクノロジーを全否定するからくり人形師たちがいるという。果たして、鉄腕アトムや鉄人28号をも凌ぐ、究極のからくり人形とは。究極のベトナムコメディ。
最後はいつもの、バカバカしさ満載。
Producer's note
ベトナムは、「笑い」のみが目的の劇団です。
ところで、「笑い」がすべてエンターテイメントではありません。
エンターテイメントとアートという二つの軸について考えます。もちろん作品を作るにあたって、必ずしもどちらかを目指すことはないし、作品を全てそのどちらかに分類することは不可能でしょう。しかしあえて言えば、ベトナムの創る作品は、アート作品だと思っています。
エンターテイメントとアートの境目を“共感して欲しい度”だとします。映画にしろ、演劇にしろ、美術にしろ、とにかく受け手(観客)に共感して欲しい。観客の感性、時代の流れに乗り、より多くの人に“共感して欲しい”。舞台芸術で言えば「舞台と客席が一体になる」という感覚。これはエンターテイメント作品です。
まず最初に作家の想いがあり、観客の感性や、時代の流れを踏まえたうえで、それに乗るのではなく、観客に新しい価値観を想起させたい、想像力をかきたてたい。観客はあくまでも舞台上で行われている行為を「観る」そして「感じる」「考える」、と思えばアート作品となる。もちろん、どっちがいいとか悪いとかはないし、どちらも芸術作品です。どちらかだけになっては、その芸術のジャンルは滅びるのではないかと思います。
「笑い」をテーマとするベトナムが作るアート作品。観客に笑って(共感して)もらわなければ成立しないにもかかわらず、アート作品を創る。笑って欲しい、共感して欲しいが、どこかにある、どこにでもある「笑い」ではなく、「笑えるの?」「笑ってもいいの?」ということを「笑わせる」。ベトナムは、アートとエンターテイメントの境界に挑んでいます。
本日はご来場いただきましてありがとうございます。
最後までごゆっくりお楽しみください。
ベトナムからの笑い声 丸井重樹
(2005年6月)
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